睡眠を妨げる “痛み“ の解消方法とは

睡眠

不眠になる原因には病気からくるものばかりではなく、実は生活習慣での痛み・・・腰痛、肩こり、首コリ、ひざ痛などの“いわゆる慢性痛“も多くの原因を占めていることをご存じでしょうか?

健康寿命を延伸するために大切な睡眠。
最近では、免疫力を高める効果もうたわれています。

今回は良眠を妨げている慢性痛を解決する治療法についてお話します。

いかに睡眠は重要か

健康寿命を延伸するには、栄養(食生活)、運動(身体活動)のほかに、睡眠が大切です。
これらは3本柱だと言われていましたが、昨今「睡眠」が健康長寿の基盤であり、その上に栄養運動が立ち、睡眠は心身の健康を保つ最強の薬という科学的エビデンスが証明されています。

アンチエイジングに必須

カリフォルニア大学のマシュー・ウオーカー教授は、以下のようにいっています。

世紀の大発見! 寿命を延ばす画期的な方法がついに開発された。しかも、効果は長生きだけではない。記憶力と創造性も向上する。外見も魅力的になる。余計な食欲がなくなり、スリムな身体を維持することもできる。ガンや認知症とも無縁になれる。風邪やインフルエンザも撃退してくれる。心臓発作と脳卒中のリスクも下がる。もちろん糖尿病にもならない。幸福感まで高まり抑うつや不安は消える。その「画期的な方法」とは、一晩ぐっすり眠ることだ。
~1万7千以上の科学論文でも証明され、睡眠こそが万能薬だ。~ 

※マシュー・ウオーカー著「睡眠こそ最強の解決策である(SBクリエイティブ出版)」p130より引用。

不眠などの睡眠不足が続くと影響を受けるものに、自律神経、なかでも交感神経があります。
この交感神経の過活動状態が続くとそれが引き金となり、ストレスホルモンであるコルチゾールが慢性的に増加します。それは心血管系に大きなダメージを与える原因になります。
また追随して、睡眠中に全身の不調を癒してくれる成長ホルモンの分泌も減ってしまいます。すなわち血管などの修復ができなくなるようです。

脳の働き

病気との関連性は・・・

《ガンのリスク》
睡眠不足が続くと、免疫機能も弱くなり、中でもガン細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞も減少します。
その原因の一つは、睡眠不足により交感神経が過度に興奮し、その状態が続くと体内の免疫システムが炎症を起こします。本来、修復因子である炎症反応が沈静せずに、いつまでもスイッチの入った状態で慢性的な炎症状態が続き、ガン細胞は増殖します。よってガンの治療には十分な睡眠も必要です。

《糖尿病》
不眠になると、食欲の増加と代謝の低下が起こり、肥満やⅡ型糖尿病を発生するリスクが高くなるということが指摘されています。しかし血糖のコントロールができなくなってしまう詳しい因果関係はまだわかっていないようですが、慢性的な睡眠不足がⅡ型糖尿病の原因の1つなら予防できるといえます。

《アルツハイマー型認知症》
アルツハイマー病を発症する人は、その発症の数年前から睡眠の質の低下が始まっているといわれています。アルツハイマー病の原因の1つは、アミロイドβと呼ばれる毒性のタンパク質が脳内に蓄積することも分かってきました。

脳内にできた老廃物は、体内にできた老廃物がリンパ管を流れていくのとは違い、脳脊髄液の流れで、脳内清掃を行います。当然アミロイドβも排出されるのですが、睡眠不足ではこの清掃機会が損なわれ、特に深いノンレム睡眠(後述)がとれないとアミロイドβが増え、アルツハイマー病のリスクが飛躍的に高まります。

睡眠にはどんな作用があるのか

健康によいとされる睡眠時間は8時間(少なくても7時間以上)といわれています。
その睡眠サイクルは、ノンレム睡眠(non-REM)とレム睡眠(REM ; rapid eye movement(急速眼球運動))が交互に現れ、およそ90分ごとに1サイクルとなり、4~5サイクルごとに入れ替わります。睡眠時間の前半はノンレム睡眠が優勢で後半はレム睡眠が優勢になっていきます。

不眠

ノンレム睡眠 と レム睡眠

それぞれに役割があり、簡潔に言えば“ノンレム睡眠で情報を記憶・整理し、レム睡眠でそれらの情報を統合“します。
深い眠りのノンレム睡眠では、成長ホルモンが大量に分泌され、細胞組織の再生、脳の機能回復、メンテナンス、グルコース代謝促進などが行われます。副交感神経が優位となるため免疫細胞の働きも活性化します。
一方、眠りが浅く夢を見る段階のレム睡眠は、ノルアドレナリンと呼ばれるストレスホルモンが一掃され、脳の感情、記憶を統合しメンタルヘルスを整える役割と問題解決や創造性を発達させアイデアを生むといわれます。

“最高の薬“といわれる睡眠による効果は

睡眠時にはアンチエイジングに欠かせない「成長ホルモン」が分泌されます。特に入眠後にくる深いノンレム睡眠(眠りはじめの3時間)に多く分泌されます。
この成長ホルモンは、骨密度を増やしたり、お肌のハリを保ったり、脂肪を減らすなど老化防止には不可欠なホルモンです。よって組織の修復や代謝促進に働き、美容や健康にも欠かせません。
また、良質の睡眠により神経が休まり、ストレスをおさめることにより腸内細菌も活性化されるという報告もあります。美容睡眠といわれる所以です。
その他、睡眠による効果の研究は世界中で行われているそうで、《肥満解消(ダイエットの味方)》 《不妊解消(生殖機能)》 《免疫機能(インフルエンザ)》 《記憶力向上》 《運動機能の獲得・改善》などで効果を認めているようです。

睡眠を妨げる原因とは・・

しかし、眠りが浅いと、ホルモン分泌は3割程度まで減ってしまうので、老化防止や美肌作り・ダイエット、栄養バランスのためにも深い睡眠は必要不可欠なのですが、ではそれを妨げる原因は何でしょうか?

不眠の原因は

不眠症は、以下の2つに分かれます。

  • 原発性不眠 ・・・原因が不明。あきらかな病気が見つからない。
  • 続発性(二次性)不眠 ・・・何らかの病気などが原因で引き起こされる。
    「二次性不眠」の原因は、
    ・神経疾患・・・うつ病、双極性障害、統合失調症、不安障害など
    ・身体疾患・・・呼吸器疾患、皮膚炎、生活習慣病、各種ホルモン異常、脳腫瘍など
    ・薬の副作用
    ・生理的原因
    ・心理的原因

これらは、病気の治療が最優先になりますが、
問題は、「原発性不眠」で原因のわからないものです。この原因は、慢性疼痛であるケースが多くみられます。

原因不明の慢性痛とは

睡眠障害は多くの慢性痛患者において共通して認められ、その代表的なものは、腰痛、肩こり、首コリなどでしょう。

肩こり腰痛

慢性の肩こり、腰痛

身体の痛みには、急性痛と慢性痛に分かれます。

たとえば腰痛症の経過で見れば、イメージしやすいと思います。
ぎっくり腰」でみられるような急性痛の原因はズバリ“ねんざ”です。
不意の動作で痛みが出現し、直後3日は強い痛みを感じますが、その時起こる炎症が治まれば痛みは軽減し日常生活に支障はなくなるといわれていますが、実際はそうではないようです。

激しい痛みはなくなったが、その後3か月たっても“スッキリしない“ “痛みで目が覚め、ぐっすり眠れない” “動くと痛い“ “痛みが広がった“ などを訴える方が沢山います。
すなわち慢性痛に移行し、痛みに対する不安、ストレスを抱えて不眠の原因となります。

この慢性腰痛と言われる状態は、原因の85%が非特異的腰痛(明らかな病気がない)といわれています。内科的な病気ではなく、画像にも映らないので原因がわからないため、病院に行っても「日常生活の改善」と「運動療法」といわれ鎮痛剤の処方と運動指導を行われるだけです。(ところが効果があまり期待できないので、マッサージに頻回に通う)

腰痛だけではありません。肩こり首コリでも同様です。
不眠を引き起こす肩こりの主症状は、僧帽筋(そうぼうきん) という肩から首にかけての筋肉のこわばり(こり)という現象で出てきます。僧帽筋のこわばりは、その下にあって肋骨と頸椎をつないでいる小さなたくさんの筋肉のこわばりが原因といわれています。

自律神経 との関係

痛みが長期間続く、すなわち慢性疼痛の状態を放置すると、自律神経が不安定になります。いわゆる自律神経失調症という状態です。当然ホルモンバランスも崩れ、先に述べました睡眠障害をはじめ様々な疾患の引き金となることは言うまでもありません。

線維筋痛症 や うつなど

全身の不定愁訴という状態で、うつ状態や最近では線維筋痛症などがその代表です。個人によって痛みが全身の広範囲や部分的に痛み、その程度も軽度なものから激しいものまであり、ときに痛みの部位が移動したり、日によって痛みの強度がかわるのが主な症状です。

慢性痛を解決させ、よい睡眠を獲得しよう!

では、どうすれば解消できるのでしょうか?

この慢性痛は、神経の痛みでも内科的な自律神経の痛みでもなく、これは関節のわずかなズレによって体を動かすときに関節の中の引っ掛かりにより痛みが生じるのです。

therapist

その原因は関節にあった!!

すなわち病気ではなく、関節の機能障害です。(私は「第三の痛み」と呼んでいます。)

ぎっくり腰を例にあげれば、「ギクっと」なったときに腰の関節に引っ掛かりが生じ、炎症が治まってもこの状態は変わらず残るのです。そしてこの痛みは、神経伝導ではなく、骨膜を通って広がっていきます。
例えば、
・腰仙関節の引っ掛かりは膝に痛みを発生する。
・肋骨の関節が原因で肘に痛みがでる。
など、原因部位と遠く離れた場所に痛みというサインをだすのが特徴的です。
(詳細は、拙著「関節リセットをお読みください)

また、引っかかっている関節を無理に動かそうとするのを筋肉が防御的に固くなって動きを止めるようです。いわゆるコリという状態であり、マッサージやストレッチで筋肉をいくらもみほぐしても、すぐに固くなってしまいます。

したがって関節の動きを数ミリ戻すことで、痛みは消失します。これが慢性疼痛の原因で一番多いのです。

施術の実際

まず、痛みを誘発する簡単なテストを行ったのち、服の上から揺らすように、わずか数ミリの関節の動きをもとに戻して行きます。施術中に痛みは伴いません。

すると、関節の動きが元にもどり可動域もすぐに広がり、筋肉も柔らかくなります。

このような状態に、あなたの身体を一度リセットして、不眠を解消し、運動や栄養とともに心身を健康に保つベストな選択です。

目覚め

まとめ

今回は睡眠の重要性とそれを妨げている痛みについてお伝えしました。
・睡眠の重要性
・不眠の原因となる「慢性痛」の正体とその解決法

肩こりや腰痛で慢性的にお悩みの方は、解決することにより、ぐっすり眠れます。
まず不安になる前に、原因と対処を知ることが大切ですね。

あなたの健康維持増進のお手伝いをさせていただきます。

引用ならびに参考

・マシュー,ウオーカー(2018)『睡眠こそ最強の解決策である』桜田直美訳,SBクリエイティブ.
・三島和夫(2017)「睡眠の都市伝説を斬るー第78回 痛みと睡眠の不思議な関係が明らか」
・オムロン(2015)「健康コラムvol.141 睡眠が健康に与える影響――睡眠は「時間」も大事だが「質のよさ」がもっと重要!
・厚生労働省健康局編(2014)「 健康づくりのための睡眠指針 2014」
・濱田 祐輔(2016)「慢性疼痛に伴う睡眠/情動障害における前帯状回アストロサイトの機能的役割:オプトジェネティクス法に従ったアストロサイトの人為的制御による解析」,『日本薬理学雑誌』148 巻 3 号 p. 128-133.
・線維筋痛症友の会ホームページ
・宇都宮初夫編(2014)『SJF関節ファシリテーション第2版』丸善出版

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